さて、この辺りから徐々に場面が切り替わり、「飛行士の回想」の印象が強かったのが、今度は「王子様の回想」的な雰囲気に徐々に移り変わってゆきます。王子様は星を離れた原因である薔薇の事について、ようやく飛行士に明かすのです。
これも解釈は様々ですが、一輪の薔薇のモデルとなっているのはサンテクジュペリの妻、コンスエロである、というのがおよそ定説。コンスエロはこの薔薇のように、奔放さと無限の想像力を持ち合わせ、一方で情熱的、きまぐれ、ヒステリックで、人前でサンテクジュペリをなじる事もあったという、激しい女性だったようです。それを思うと、
「そんなしうちをされて、本気で花を愛してはいたのですが、すぐに花の心を疑うようになりました」
この言葉はサンテクジュペリの心の叫びそのもののように思われます。愛と嫌悪感とが心の中で入り乱れ、随分悩んだに違いありません。

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